「電気自動車(EV)って、実際のところどうなの?」と聞くと、オーナーはこう答えました。「最高ですよ。でも、あなたに合うかは別です。」
EVは環境に優しく、家計にも優しい――そんなイメージで語られることが多い電気自動車。確かにその通りですが、実際にオーナーになってみると、それだけではない発見がたくさんあります。
この記事では、EVに乗り換えて実感したメリット・デメリット、そしてなぜ万人におすすめしないのか、その理由をEVオーナーが正直にお伝えします。
ニコノリ事業責任者
安田 倫
自動車業界歴15年。株式会社MICに入社後は車関連の商品やサービスの新規開発に携わり、現在はニコノリの事業責任者を務める。 2023年、ポルシェ911から日産リーフNismoに乗り換えてEVライフを満喫中。 休日はハーモニカ奏者として横浜市のイベントでよく演奏している。
ニコノリ広報担当
宮重アリサ
YouTube・TikTok・Xなどの
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~もくじ~
安田さん:
「今日は、以前からお話したかったEVのダメなところと、もちろん良いところもあるので、どちらもご紹介していきます。
中古の日産リーフNismoに乗り代えて、個人的には満足しています。ただ、他の方に勧めたいとは全く思っていないので、まずはその理由からお話していきます。」
宮重さん: 「よろしくお願いします。」
安田さん:
「まずは、車が重たいことです。バッテリーを乗せている分、何百kgか重いので、タイヤの減りが早いです。
状況によりますが、一般的にタイヤは4万kmで変えるのが基準です。私は中古で走行距離18,000kmのリーフを購入しましたが、すでにタイヤの溝がとても減っていました。すぐにタイヤを変えたのですが、1年乗ってみて、さすがに再び交換するほどではないものの、やはりタイヤの減りの早さを実感しています。この減りの早さはバッテリーの重さが原因だと考えていますね。
また、重さは走りそのものにも影響を与えています。走りというのは、『走る』『止まる』『曲がる』の3つに主に分けることができますよね。このうち、『走る』『止まる』に関してはモーターが駆動でスムーズに走れますし、回生ブレーキがかかってキュッと止まることができます。しかし『曲がる』については、コーナーでの挙動に車重を感じます。前の車がポルシェ911だったからということもありますが、やはり少し曲がる時のバランスが取れていない気がしています。」
宮重さん: 「なるほど。EVのダメなところの1つ目はとにかく重かった、と。」
安田さん:
「2つ目は、そんなに静かじゃないところですね。
乗り始めてゆっくり走り出すまでは本当に静かで、一緒に乗っている人にも「静かだね」と言われます。ですが、ある程度のスピードになるとガソリン車と変わらないので、ロードノイズ(タイヤと路面の接触音)がかなりあるんだなと改めて思いました。そういう意味では、リーフの造りの問題も多少あるかもしれませんね。
少なくとも、走りながらラジオを聞いている時に『静かで聞きやすいな』と思ったことは一度もありません。ですので、EVに過度な静かさを期待するのは違うと思います。」
安田さん: 「3つ目は、元を取るのに時間がかかる、という点です。正直、おそらく元は取れないと思います。以前のガソリン代と今の電気代を比べると、月7,000円ほど安くなっているというお話しは、前の動画でさせていただきました。それだけ聞くと魅力的に感じるかもしれません。」
宮重さん: 「そうですね。こちらでお話しを聞かせていただきました。」
安田さん:
「しかしよくよく考えると、私はどこの充電スポットでも使える会員サービス(月額2,000円)に加入しているのでその費用を差し引くと、毎月の節約額は実質5,000円になります。さらに、自宅に充電コンセントを設置するために初期投資として20万円ほどかかりました。
この20万円を月5,000円の節約で回収しようとすると40ヶ月、つまり3年~4年かかることになります。このくらいの期間乗っていると、今度はバッテリーの劣化による交換の必要が出てきて、交換には約80万円かかると言われています。そしてそれだけ長い期間乗っていると、今度は『そろそろ乗り換えかな…』なんていう話も出てきますよね。
EVは中古で安く買えますよと言いましたが、それは裏を返せば、自分が売却する時も安値になるというデメリットにもつながります。
私は楽しいので乗っていますが、トータルで考えると経済的かどうかは疑問ですね。経済的なメリットを期待してEVへの乗り換えを検討している方は、少し立ち止まって考えてみたほうが良いかもしれません。」
宮重さん: 「ありがとうございます。4つ目はなんでしょう?」
安田さん: 「はい、冬ですね。 2月の後半に納車したのですが、その頃は少し暖かくなってきていました。しかしマイナスの気温に突入すると、バッテリーの性能が落ちます。航続距離が暖かい時期は250kmくらいなのですが、真冬は200kmくらいまで落ちますね。」
宮重さん: 「かなり落ちましたね。」
安田さん: 「そうなんです。長期間気温がマイナスを超える地域では、航続距離はかなり差し引かれると考えて良いです。」
安田さん:
「最後は、やはり充電設備の問題です。私は神奈川県の街中が主な行動範囲なので、コンビニエンスストアなど充電スポットが充実しています。しかし少し郊外に出ると、充電設備が全然ありません。さらに、観光地でも充電設備が必ずしも充実しているとは限りません。
仮に設置されていたとしても、1回の使用時間は基本的に30分と決まっているため、パワーが低い場所では30%ほどしか貯まりません。この充電量ですと、走れても100km程度です。
ただ、まだ一般道は探せばなんとかなりますが、本当に怖いのは高速道路です。パーキングエリアにしか充電設備がなく、あっても1つなので、もし埋まっていたら…」
宮重さん: 「待たないといけないですね。」
安田さん: 「はい、30分待たないといけないんです。かといって、この充電器を逃したら次のパーキングはどこか、そしてそこに充電器があるのか…調べることがたくさんあって面倒に感じます。」
宮重さん: 「次のパーキングでも充電器が埋まっていたらと思うと、大変ですよね。」
安田さん:
「そうなんです。ですので、待っておいた方が後が安心なんです。
たとえ30分充電する時間があっても、その間にパーキングエリアのサービスを利用するほどの余裕はないです。こういった面がEVに乗っていて不便だと感じますね。長距離移動の計画が立てられなくなったことが一番問題だと思います。」
宮重さん: 「お話を聞くと、本当にまだまだEV自体が普及していない感じがあります。」
安田さん:
「はい。EVの色々と伝えたかったことをすべてお話しました。
ですが、私はEVに乗り換えて満足しています。もともと長距離の旅行が好きではないので、往復200km圏内での移動に限定することで家族に長旅の計画を勧められることもなくなり、かえって心地よく感じています。
ガソリンを入れる手間や、メンテナンス、そして自動車税の負担が軽くなったのも、大きなメリットだと感じています。
それでも他の方に勧めようとはあまり思わないですが…」
宮重さん: 「そうですね、まだ勧められないですね。」
安田さん: 「購入するなら、本当によく考えてからが良いと思います。それでも興味がある方はニコノリで相談いただければ、実体験を踏まえたご提案ができます。」
安田さん: 「では続いて、私が乗っている日産リーフNismoの良いところをお話していきます。 私は好奇心で乗り換えたので、EVが経済的だとは一切思っていません。でもリーフを買って満足していますので、私の目線でEVの良いところをお話できればと思います。」
安田さん:
「1つ目は、車内での時間つぶしがとても快適になりましたね。
あちこちでハーモニカを吹く機会が多いのですが、いつも演奏時間の30分~1時間前には現地に到着しています。野外だと待機する場所がないこともあるのですが、そんな時は車内が最高の待機場所になります!エアコンを静かにずっとつけっぱなしにできるので、とても快適なんですよ。
今まではポルシェ911に乗っていましたが、ガソリン車はエアコンを使うためにエンジンをかけなければならず、その音が結構大きかったんです。」
宮重さん: 「確かに、エンジン音や排気音がありますよね。」
安田さん: 「はい。EVは大きなバッテリーを積んでいるので、エアコンやシートヒーターを1時間つけっぱなしにしても、バッテリーの減りは数%程度です。そのため、周囲に気兼ねなく、車内を快適な空間に保ったまま、ウォーミングアップや映画鑑賞をして過ごすことができます。」
宮重さん: 「いいですね!特別なスペースでの一人時間ですね。」
安田さん: 「そうなんです。EVに乗り換えてから、車内で充電したり、エアコンを使ったりすることに全く抵抗がなくなりました。静かな空間でゆっくり過ごしたい方にとって、EVはとても良い選択肢だと思います。」
安田さん:
「2つ目は、やはり走りが良いです。モーターは立ち上がりが早いので、アクセルを踏んだ瞬間から力強く、一気に加速します。
マニュアル車に乗っている方はわかると思いますが、常にパワーバンドに入っている状態で、どこに行っても踏んだらその分だけのトルクで加速してくれます。
減速する時も、アクセルを離せば離すほど回生ブレーキがかかります。常にしっかりとシフトチェンジをフリッピングして回転数を合せている感覚です。」
宮重さん:
「なるほど。
EVの加速をマニュアル車で例えると、いつでも最適なギアに入っている感覚で、エンジンの回転数を気にすることなく、即座に力強い加速が得られるということですね。
減速も、マニュアル車で丁寧にシフトチェンジをしながら、エンジンブレーキを効かせているようになれると。」
安田さん:
「はい。EVの運転感覚は、マニュアル車の面白さに通じるものがあります。前に乗っていたポルシェ911の日常使いと比べても、加速感や減速感に不満はなく、楽しく運転できています。加速と減速、『走る』と『止まる』の部分では本当に高いレベルを実現していますので、満足です。」
安田さん: 「続いて3つ目は、災害時の備えになるということです。【V to H】Vehicle to Home つまり『車から家へ』ですね。災害などで停電になった際に、EVに蓄えられた電力を家庭用に活用するシステムや考え方のことを言います。」
宮重さん: 「それはすごい便利ですね!」
安田さん:
「これ、とても良いんです。
車の電気は直流、家庭の電気は交流なので、車内の電気を家で使うには変換器が必要です。変換器はそれなりの値段がしますが、もしもの停電時にも安心して過ごせるという大きなメリットがあります。
先日、夜中にブレーカーが壊れて停電し、業者の方が来るまでに時間がかかり、とても困りました。特に、冷蔵庫の中身が溶けていくので大変な思いをして…。こうした経験から、V to Hのような備えは決して無駄にはならないと感じています。」
宮重さん: 「備えあれば憂いなしですものね。」
安田さん: 「4つ目は、個人的にはなってしまいますが、EVは話のネタになることです。」
宮重さん: 「そうですね。EVの話題はすごく話しやすいと思います。」
安田さん:
「車関係の仕事柄、話題は自然と車の話になります。業界の方でも、EVに乗ったことはあっても所有経験のある方はまだ少ないので、「実際どうですか?」と乗り換えてからの1年間で数え切れないほど聞かれましたね。
実際に、EVに乗っていることをきっかけに、私を知ってくださった方も少なくありません。EVがきっかけで人とのつながりが広がり、ビジネス面だけでなく、私生活でもプラスになっているのを実感しています。ポルシェ911に乗っていた時よりも、リーフの方が色々な方に興味を持ってもらっていますね。」
安田さん: 「5つ目もとても個人的な話しになってしまいますが、遠出しなくてよくなりました。」
宮重さん: 「これに関しては、本当に安田さんの場合ですので、皆さんのメリットになるかは個人で判断をお願いします。」
安田さん: 「デメリットでもお話ししましたが、私は長時間の移動が好きではないです。家族は遠出が好きで、以前は長距離旅行によく行っていました。しかし途中で充電が切れると大変だということは家族も理解しているので、提案されるお出かけプランがリーフの航続距離200km圏内(片道100km)に収まるようになりました。横浜からだと、箱根までのような片道1~2時間の距離が一番心地いいですね。このくらいの運転時間だと、気軽にドライブを楽しめますし、私にとってはこれがEVに乗り換えて最大のメリットだと感じています。」
宮重さん: 「EVに乗り換えて一番のメリットが『遠出しなくて済むようになった』なんですね」
安田さん:
「そうですね。しかし家族もだんだんとEV生活に慣れてきたのか、最近は充電できる宿を見つけるようになりました。
宿に着くまでの間に色々なお店に立ち寄ると、片道で180kmほどになります。でも、充電スポットがある宿なら、途中で充電場所を探す手間が省けるので、そういった面ではとてもありがたいですね。」
安田さん:
「私は車を事故で失い、急いで新しい車を買わなければならなくなりました。どうせならと、好奇心と勢いに任せて衝動的にEVを選んだのですが、結果的にとても満足しています。会社の機械式駐車場のサイズに合わせて、4年落ちの日産リーフを購入しました。
車検でバッテリーの劣化をチェックしてもらったのですが、走行距離が3万5,000kmになった今も、特に問題はありません。バッテリーの保証期間は8年ですが実際はもっと持つのでは、と考えています。
急この先、急にバッテリーが劣化するかもしれませんが、もしそうなっても交換して乗り続けたいと思うくらい、このリーフを気に入っています。」
宮重さん: 「モデルチェンジでSUVが出たら買い替えですか?」
安田さん: 「それも検討したいですね。経済性などは関係なく、ユーザー目線では本当に良い車だと思います。」
宮重さん:
「これからも、安田さんのEVを追っていこうと思います。今日はありがとうございました。」
今回お伺いしたEVのデメリットとメリットをまとめると、以下のようになります。
他にも、スポーツカーと比べると、Nismoモデルでも車体の重さが隠しきれず、コーナーでの走りは少し気になるという点も挙げられます。しかし加速も減速もレスポンスは鋭いという評価でした。
オーナーとしての満足感は高いですが、EVは誰にでも合う車ではないかもしれません。しかし、もし少しでもEVに興味を持たれたなら、一度乗ってみる価値はあります!よろしければ、ニコノリまでお気軽にご相談ください。
皆さんが自分にぴったりの車を見つけ、素敵なカーライフを送れますように。
EV車オーナーが正直に語ります。EV車のデメリット
EV車オーナーが正直に語ります。EVの良いところ
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