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国内仕様もマイルド・ハイブリッド化された新型CXー5

車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修

この記事の監修者
月間ニューモデルマガジンX編集部
代表取締役社長兼編集長
神領 貢

マツダのクロスオーバーSUVであるCX-5が9年ぶりにフルモデルチェンジし、3代目が登場した。2012年に登場した初代CX-5は、マツダの新世代技術であるSKYACTIV TECHNOLOGYを全面的に採用した初の車種で、当時、選択肢の少なかったクリーンディーゼルSUVとして人気を集め、その商品性が評価されて日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。新ブランドながら、一代でグローバル販売台数は約145万台(うち国内は約15万台)に達して成功を収めた。

2016年末に登場の2代目CX-5は初代より質感を高めることで販売台数を伸ばし、約9年間でグローバル販売は355万台(うち国内は約25万台)を記録。いまやCX-5はマツダのグローバル販売の28%を占めるマツダの大黒柱になった。

その重要な位置づけモデルであるCX-5のフルモデルチェンジにあたってコンセプトを『新世代エモーショナル・デイリーコンフォート』と定め、マツダならではの人馬一体の走りとデザイン、そして快適性や使い勝手を高めることに力が注がれた。

外観デザインは、ひと目でマツダ車とわかるルックスで、基本的なデザインコンセプトは歴代CX-5が築いてきた"都会派SUV"を軸足としながらも、新コンセプトである" Wearable Gear(ウェアラブル・ギア )"を元に、身に纏うように気軽に乗れて、どこへでも走って行けそうなスポーティで自信に満ち溢れた力強いプレゼンスをイメージしたという。

ボディサイズは4690mm×1860mm×1695mm、ホイールベースは2815㎜で、全長は115mm、全幅は15mm、全高は5mm(ルーフの高さを基準にすると30mm)拡大された。

CX-5 フロント
CX-5 リア

全長の拡大分は、そのままホイールベースの延長分に相当する。つまり、前後オーバーハングはそのままに、室内空間が拡大された。なかでも後席居住性を大幅に改善。側面から見たデザインも、先代よりリアドアが大きくなって前後ドアサイズのバランスが良くなったように見える。

CX-5 サイド

インテリアは音声認識機能がメインに据えられてスイッチ類が大幅に削減された水平基調のインパネを採用することで、シンプルかつクリーンなイメージが強まった。メーターパネルは10.25インチのフル液晶タイプに刷新。3つの表示パターンに切り替えられるが、いずれもシンプルで遊び心は少ない。

CX-5 メーターパネル

センターコンソールのリッドは左右別々に開けられるバタフライ式。内部にはUSBタイプC端子2個が備わっている。そのすぐ前方にはワイヤレス充電も標準装備されている。

CX-5 運転席周り

HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の刷新もポイントに挙げられる。マツダは長らくダイヤル式コマンダーを用い、姿勢を変えずにナビの設定や音楽の選択を行う方式に注力してきた。だが、スマホの普及に代表されるように、時代の変化とともにデバイスの入力方法も変わりつつある。そこで、新型CX-5は新しい電子プラットフォームとGoogleビルトインを初採用。空調やナビといった各種機能を音声で操る方法が取り入れられた。

360度カメラは新設された透過機能によって床下の路面状況が、スワイプ機能によって自車の周囲が直感的に確認できる。また、CX-5初設定のドライバー異常時対応システム、渋滞時ハンズオフ・アシスト、車線変更アシストは最上級グレードに、アクセルOFF時に前走車との車間を制御してくれるプロアクティブ・ドライビング・アシストと後席リマインダーは全車に標準装備されている。

CX-5 センターディスプレイ

フロントシートは内部のウレタンが見直されてホールド性が高まった。

CX-5 フロントシート

リアシートで注目したいのは足元の広さだ。前述したようにホイールベース延長のおかげでニースペースは先代より64mmも広がった。また、Cピラーの傾斜角変更も手伝ってリアドア開口部は約70mm広がり、乗降性が改善されてチャイルドシートの取り付けが行いやすくなった点も見逃せない。

CX-5 リアシート

ラゲッジスペースを見てみると、荷室長はフル乗車時が994mm(先代モデル比プラス45mm)、リアシート前倒し時が1845mm(同プラス94mm)。フル乗車時の容量は466L(同プラス43L)、荷室高は529mm(同プラス22mm)。また、シートバックは中央のみを前倒しできるよう4:2:4に分割されている。ラゲッジスペースは奥行きが45mm増となったことでベビーカーを縦方向に載せられ、開口部の下端は先代より18mm低い727mmに設計されて使い勝手が向上した。(いずれの数値もマツダ測定値)。

CX-5 荷室(フル乗車時)
CX-5 荷室(リアシート前倒し時)

パワートレインではディーゼルエンジンが廃止され、178ps/237Nm(24.2kg-m)を発生するPY-VPH型2.5L直4ガソリンエンジンに6.5ps/60.5Nm(6.2kg-m)を発生するMK型モーターと6速ATが組み合わされたシンプルな構成。このパワーユニット国内向けマツダ車で初めてバイオエタノール混合のe10ガソリンにも対応している。WLTCモード燃費は先代2.5LスカイアクティブG搭載車と比べて約10%改善された。具体的には、FFモデルが13.8km/Lから15.2km/Lに、4WDモデルは13.0km/Lから14.2km/Lに向上。これはマイルド・ハイブリッド化だけでなく、EGRで再循環させる排ガス量の増加(これだけで3%強の改善効果)、駆動系やタイヤの抵抗削減も貢献している。

CX-5 パワートレイン

現状は、この2.5LスカイアクティブGとISG(スターター兼ジェネレーター)採用のマイルド・ハイブリッドのみだが、次世代ユニットのスカイアクティブZとマツダ独自のストロング・ハイブリッド機構が組み合わされるイメージリーダーは27年中に導入される予定だ。

グレードにはS/G/Lの3種類が用意され、それぞれにFFと4WDを設定。エントリーモデルのSグレードは先代で全車に標準化されていたハンズフリー電動ハッチゲートやヘッドアップ・ディスプレイ、トノカバーが省かれてしまったものの、330万円に設定。ひとつ上のGグレードは352万円で、225/55R19インチタイヤ、前後シグネチャーランプ、ルーフレール、リバース連動ドアミラー、電動ハッチゲート、ヘッドアップ・ディスプレイ、前席シートバックポケット、合皮コンビシート、運転席パワーシートなどが追加装備される。そして最上級のLグレードには初採用の安全デバイスやピアノブラック外装パーツ(他グレードは無塗装)、電動ハッチゲートのハンズフリー機能、大型インフォテイメント画面、本革シート、助手席パワーシート、BOSEオーディオ&12スピーカーなどが追加されて407万円と、最近の新型車にしては抑えめの価格設定となっている。

CX-5 ホイール

試乗したのはGグレード4WDモデルだ。新採用されたISGのスペックは微小なため、走行中のアシストは体感できるレベルではないが、アイドリング・ストップ状態からの再始動がスムーズに行われる点に進化を感じた。開発陣によるとアクセルペダル踏み始めからのレスポンスを向上させたとのことだが、立ち上がった後のパワーの出方がやや過剰で、オーバーシュート気味になってしまう場面もあった。加速時のエンジンサウンドは野太く、廃止されたディーゼルユニットを彷彿とさせる音色で聴覚からも力強さを感じられる。なお、先代(の初期型)に試乗した際、前輪からのロードノイズがAピラー伝いに上がってくる点が気になったが、風切り音も含めて静粛性のバランスが見直されたことで快適性は上がった。ただし、荒れた路面に差し掛かるとそれまでの静粛性とのギャップが大きく、タイヤの特性に改善の余地はありそう。

サスペンション形式は先代と同じく、フロントがストラット式、リアがマルチリンク式。キーワードであるコンフォートを追求すべく、乗り心地の改善をめざしてスプリングは柔らかくセッティングし直された。しかし、それだけではハンドリング性能がスポイルされるため、ダンパーの径を拡大するなど減衰力の立ち上がりを早めて応答性を向上。街中で試乗した際に後輪からの突き上げが強めに感じられたが、不快なレベルではなく、フル乗車&荷物満載に備えての味つけと思えば許容できる。

マツダが調査を行ったところ、CセグメントSUVの購入を検討しているユーザーの多くは350万円~400万円が妥当と考えていることから、そこに当てはまる価格設定を実現したという。27年に登場予定のストロング・ハイブリッド仕様の価格設定も気になるところだ。


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[この記事の監修者]
月間ニューモデルマガジンX編集部
代表取締役社長兼編集長
神領 貢

しんりょうみつぐ 1959年3月20日生まれ。関西大学社会学部マスコミ(現メディア)専攻卒業後、自動車業界誌やJAF等を経て、「ニューモデルマガジンX」月刊化創刊メンバー。35年目に入った。5年目から編集長。その後2度更迭され2度編集長に復帰、現在に至る。自動車業界ウォッチャーとして42年だが、本人は「少々長くやり過ぎたかも」と自嘲気味だ。徹底した現場主義で、自動車行政はもとより自動車開発、生産から販売まで守備範囲は広い。最近は業際感覚で先進技術を取材。マガジンX(ムックハウス)を2011年にMBOした。
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