車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修
11代目となる新型アコードが2024年3月8日に発売された。初代が登場したのは今から45年以上も前の1976年だった。シビックより大きめの3ドアハッチバックとしてデビューし、その後に4ドアサルーンが登場。昭和51年排ガス規制をクリアしたCVCCエンジン、当時の国産車では珍しいパワステやホンダマチックを用意するなど、革新的なクルマだった。余談だが、パワステ付きは超軽い操舵感だったが、パワステ無しは据え切りがツライほどの「重ステ」だったと記憶している。
1985年に登場した3代目は最高出力160psの2L直4-DOHCエンジンを搭載。4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションやリトラクタブル式ヘッドライトといったスポーツカー的な要素の装備をもったモデルだった。また、3ドアワゴン風のエアロデッキは異色の存在として注目を集めた。その後もスポーティなセダンおよびワゴンとのイメージが続いたが、日本国内ではミニバンやSUV人気で隅に追いやられた感もあり、2020年登場の10代目からは海外生産の少量輸入モデル化。その10代目は2023年1月に国内販売を終えたが、1年以上の空白期間を経て11代目が発売された。国産メーカーの国内向けセダンが徐々に消滅していく中、ホンダが新型アコードを日本に復活させたことは非常に興味深い。
11代目アコードは先代と同じくタイで生産され、日本に輸入されている。ボディ形状はセダンのみ。サイズは全長4975mm×全幅1860mm×全高1450mm。
ホイールベースは先代と同じ2830mmだが、全長は75mmも長くなった。無駄なラインが少ないクリーンなデザインのボディは、かなり大きく見える。ボディカラーには5色が用意されているが、イグナイトレッドMをはじめ、プラチナホワイトP、キャニオンリバーブルーM、メテオロイドグレーMの4色は4万4000円のオプション費用が必要で、無償で選べるのはクリスタルブラックPのみ。
少量の輸入モデルとあってか、仕様はFFのe:HEV(ハイブリッド)モデル一本で非常にシンプルな構成だ。搭載エンジンはレギュラーガソリンで147ps/18.6kg-mを発生するLFD型水冷2L直4-DOHC直噴。先代のポート噴射から気筒内直噴にすることで世界トップレベルの最大熱効率41%を実現し、好燃費に貢献している。このエンジンに組み合わされるのが、184ps/34.2kg-mを発生するH6型モーターだ。
さらに、骨格から刷新して大幅なトルクアップを実現した新設計の電気式CVTを採用。発電用モーターと駆動用モーターの2つを、従来型の同軸配列から閉口配列に変更することで自由度を向上。走行用モーターは最大トルクを約2.0kg-m増大させたうえで中高回転域の出力が引き上げられた。一方の発電用モーターは従来型に対して小型・大積厚化し、最高回転数を大幅に高めることで出力を約19ps向上させている。これらにより、走りと燃費を高次元で両立。e:HEVは走行状況に合わせてEVモード、HEVモード、エンジンモードに切り替わり、高効率な走行を実現する。
安全面では最新の全方位安全支援システム「Honda SENSING360」を搭載。さらに、2025年には車両周辺の死角をカバーして交通事故の回避やドライバーの運転負荷の軽減をサポートする「Honda SENSING 360+」を搭載予定だという。
外観デザインは最近のホンダ・セダンに通じるファストバック風だが、先にも記したように無駄なラインを省いたシンプルさは好感が持てる。インテリアもクリーンで長く付き合えそうな印象だ。実際に運転席に座ってみると、ドア直付けだったシビックのサイドミラーと違い、Aピラー付け根のドアミラーベースが死角になっていて、近年のホンダ車の中では運転視界があまり良くない点がちょっと気になった。
また、インパネのメタル加飾はハニカム形状から菱形に変更されてエアコン吹出口が目隠しされていない。センターコンソールなど手の触れる部分は指紋が付きやすく、角度によっては反射が気になるピアノブラックでない点が良い。
12.3インチHonda CONNECTディスプレイは国内モデルで初めてGoogleアプリを搭載。ただし、画面の左4分の1はエアコン関連の表示で奪われているため、ナビ画面は実質8~9インチ程度。ワイヤレス充電の他にUSB Cポートも2個ついていて使い勝手は悪くない。
スムースレザーの本革シートの見た目はいいのだが張りが少々強め。座っているとすぐに背中やお尻が痛くなってしまう。「上級車種は本革シート」というステレオタイプ的発想で装備されているのだろうけれど、快適性を重視するのであれば布やアルカンターラのような合成スエード調表皮のほうが適しているはず。できればシート表皮は選べるようにしてほしい。
ラゲッジ開口幅は115cmと広く、開口部までの地上高は65cmと低い。ただ、開口部から荷室床面までの深さは18cmと深いので、荷物の積み降ろし性はやや良くない。
床面幅は85〜138cm。床面長は93cmで寸法上は短めだが、前述したとおり床面が低くて荷室高が稼げる分、荷室容量は先代と同等の570Lで余裕がある。床下には48cm×22cm×12cmの収納トレイを用意。
また、リアシート全体が前倒しできるトランクスルーだけでなく、開口部サイズ13cm×17cmのアームレストスルーも備わっている。
ドライブフィールはゆったりとしたソフトな印象で、走り始めは「随分とフワフワしているなぁ」という感想を抱く。一般道では多少のユサユサ感もあるが、総じて揺れはうまく抑えられている。大きめな凹凸に対してカドを丸め、フワッといなしている。その代わりに上下のバウンスは大きめで収束も遅れ気味。ブルブルといった微振動は高速道路では気にならず、かなりフラットライドな乗り心地に近づく。
もっと意外だったのはワインディングでの走り味で、上り坂でこそ若干のパワー不足を感じるものの、大柄なボディの割にはキビキビ曲がる旋回性の良さ、しなやかな足回りで路面に吸い付くような接地感など、とてもスポーティで気持ちよく走ることができた。
残念なのは、やはりシート。表皮の張りが強いために、せっかくの柔らかな乗り心地を台無しにしてしまっている。この部分は是非改良してほしい。
参考までに、WLTCモード燃費値は23.8km/L。実際に市街地45%、高速道路55%の323.9kmを走って燃費を計測したところ、満タン法で19.8km/Lを記録。これはWLTCモード燃費値に対して達成率83%。過去に計測したe:HEV車のなかでは最も良好な数値だ。燃料タンク容量は48Lなので、満タン法の計測値から計算すれば、一度の満タン給油で950kmほど走れる計算だ。
税込み価格は544万9400円。最新フル装備のミドルクラス・ハイブリッドセダンとしては納得の価格設定と言えるのではないだろうか。このクラスの日系セダンは絶滅危惧種であり、新型アコードの発売は国内のセダン派にとって心強いことだろう。他の国産メーカーにもホンダを見習って是非とも魅力的なセダンを復活させてほしいところだ。セダンを探したくても、いまや多くの選択肢が中古車か外車というのは、さすがに悲しいではないか。
しんりょうみつぐ 1959年3月20日生まれ。関西大学社会学部マスコミ(現メディア)専攻卒業後、自動車業界誌やJAF等を経て、「ニューモデルマガジンX」月刊化創刊メンバー。35年目に入った。5年目から編集長。その後2度更迭され2度編集長に復帰、現在に至る。自動車業界ウォッチャーとして42年だが、本人は「少々長くやり過ぎたかも」と自嘲気味だ。徹底した現場主義で、自動車行政はもとより自動車開発、生産から販売まで守備範囲は広い。最近は業際感覚で先進技術を取材。マガジンX(ムックハウス)を2011年にMBOした。
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