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思わず笑顔になるSuper-ONEは、ホンダらしさ全開のホットハッチだ!

思わず笑顔になるSuper-ONEは、ホンダらしさ全開のホットハッチだ!

車の情報誌「ニューモデルマガジンX」編集長監修

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[掲載日:2026年7月15日 更新日:2026年7月15日]

神領 貢

この記事の監修者

月間ニューモデルマガジンX編集部

代表取締役社長兼編集長

神領 貢


ホンダは2025年9月に発売したEV軽自動車のN-ONE e:をベースに、全幅を拡大して登録車サイズにした小型EVのSuper-ONEを2026年5月22日に発売した。2025年10月に開催されたJapan Mobility Show会場でプロトタイプが公開され、往年のシティ・ターボIIを彷彿とさせるワイドなブリスターフェンダーを起用したデザインが注目を集めた。

Super-ONE フロント

じつは正式デビューに先がけて、2025年7月にGoodwood Festival of Speed 2025にコンセプトモデルであるSuper EV Conceptが出展され、あのヒルクライムコースで雄姿が披露された。単なるプロトモデルではなく、キチンと走る、発売を前提にしたモデルであることがアピールされた。

実際、プロトタイプの時点で日本や英国、アジア各国において、さまざまな路面環境や気候条件下で走行試験を重ね、走行性能のさらなる向上が図られ、2025年10月の初公開時点で「2026年より日本を皮切りに、小型EVのニーズの高い英国やアジア各国などでも発売を予定」とアナウンスされていた。

日本マーケットを見ると、手厚い補助金制度が準備されているにもかかわらず、諸外国と比べて敬遠派が幅を利かせていてEVの普及ペースは上がっていない。自動車メーカー各社の会見の場でも「想定していたよりスローペース」といった主旨の発言が聞かれることは珍しくない。

公式な発表前の2026年4月から全国のHonda Cars店にて先行予約受付が始まっていたが、なんとデビュー日の時点で7000台の予約を受けており、さらに6月上旬には1万1000台もの受注を獲得。EVとは思えない快進撃を見せている。

Super-ONE リア

同社は2024年に発売した軽商用EVのN-VAN e:を皮切りに、2025年には日常ユースに優れた軽乗用EVのN-ONE e:を市場投入し、小型EVの普及に努めてきた。それらの開発の中で浮かび上がったのは「単にカーボンニュートラルに貢献するだけではなく、操る喜びに満ちたホンダらしいFUNなEVを創造したい。モーター駆動ならではの力強い加速を中心に、『楽しさ』に全力投入した小型EVをつくり上げる」というアイデアだ。そして開発コンセプトは「e:Dash BOOSTER(イーダッシュブースター)」と定められ、Nシリーズのプラットフォームを継承しながら軽自動車の枠を取り払い、ドライバーが心から「楽しい!」と思える仕掛けを惜しみなく投入して作り上げられた。

Super-ONE 充電口

実車を見ていこう。N-ONE e:をベースに開発されたSuper-ONEの最大の特徴は、前後トレッドを40mm拡大することで全幅をN-ONE e:の1475mmから100mm広い1575mmにしていることだろう。タイヤサイズも155/65R14から185/55R15にワイド化。この拡大部分を張り出したブリスターフェンダーでカバーしている点が、かつてのヤンチャなホットハッチ的デザインを生み出している。

このトレッドのワイド化は高い走行安定性を追求したもので、単純にタイヤサイズの変更によって実現しているものではない。前輪サスペンションのロアーにはアルミ鍛造の専用品を採用。また、左右で長さが異なるドライブシャフトは長いほうを太く、短いほうを細くすることで左右等剛性にしている。さらに、前輪ハブの剛性アップや前後ブレーキのサイズ拡大といった改良が施されており、単なる見せかけのワイド化ではない点がホンダの本気度を感じさせる。

基本的なプラットフォームやMCF7型モーター、29.6kWhのリチウムイオン電池はN-ONE e:と共用されている。

Super-ONE パワートレイン

出力/トルクも47kW(64ps)/162Nm(16.5kg-m)で変わりないが、ステアリングホイールに設置された専用スイッチで作動するBOOSTモードを使用すれば70kW(95ps)にパワーが跳ね上がる。ちなみに、このBOOSTモードを選択するとメーターパネルは紫色に変わり、3連メーターに含まれる擬似タコメーターのレッドゾーン(レブリミット)が変わるという視覚的な演出も搭載されている。

Super-ONE ステアリングスイッチ

参考までに、WLTCモードによる一充電航続距離は274kmでN-ONE e:の295kmよりわずかに落ちるが、一般的な普段使いの近距離走行パターンであれば不満が出ることはないだろう。

Super-ONE マルチインフォメーションディスプレイ

5パターンに切り替えられるドライブモードのうち、BOOSTモードとSPORTモードでは仮想有段シフトが再現され、変速時のトルクの途切れやレブリミットでの頭打ち感、V8エンジン搭載車のような野太いサウンドが再現される。「あえて音を濁らせることでリアリティを持たせた」と開発責任者の堀田英智さんは話す。音色や音量もいろいろと試したそうだ。

さらには聞こえ方にもこだわり、ありがちなスピーカーからの擬似音とは一線を画す点に作り込みの良さが感じられる。プログラムの書き換えや追加で音色を増やしたり音量の調整も可能になりそうだが、開発関係者によると、大元に使われている電子プラットフォームはN-ONE e:のもので、そこまで機能を追加できるほどの余裕はないという。

なお、ドライブモードにはホンダ車で初めてCITYモードというポジションが用意されている。これはアクセルペダルのみで加減速が行えるモード(いわゆるシングルペダル・モード)で、N-ONE e:のような専用ボタンをやめてドライブモードに取り込まれている。理由のひとつは「BOOSTモードやSPORTモードでシングルペダル運転を試したところ、ギクシャクして乗りづらいと感じたから」とエネルギー性能開発に携わる加藤崇資さんは説明する。

Super-ONE 運転席周り

試乗してみると、もともと低重心である利点に加えてトレッド拡幅による踏ん張り感アップや立ち上がりから太いトルクを発揮するモーターが功を奏し、ワインディングでは思わず笑みがこぼれるほど楽しめる。ワイドボディ化にもかかわらず、N-ONE e:から60kgアップの1090kgに抑えられた車重のおかげもあって、かつてのシビックSiRに乗った時のような懐かしいホットハッチを連想させる走りが体感できる。低速域では身体を揺すられるほどサスペンションは引き締められているが、かつてのホットハッチはそれが当たり前だった。これは確かに若かりし頃にホットハッチに乗っていた中年層にウケて当然だ!と試乗を通して妙に納得してしまった。

フロントシートの骨格は基本的にN-ONE e: と共通だが、シートバックと座面のサイドサポート変更によってホールド性が向上している。遊び心を感じさせる左右非対称の配色も見逃せない。また、前述した擬似サウンドの演出にも活用されるBOSEオーディオやGoogleビルトインを含む9インチ画面が装備されている。

Super-ONE フロントシート

ラゲッジ床下に配されているサブウーハーは13.1Lの大容量を誇り、重低音の再生にひと役買っている。

Super-ONE 荷室

今後、英国、タイ、インドネシア、ブルネイ、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドの右ハンドル圏7カ国にも1年以内に投入される予定のSuper-ONE。国のCEV補助金は130万円なので、ちょっと高めの339万0200円の価格もかなり身近になる。居住エリアによっては地域の補助金も活用できるから、N-ONE e:(価格:約270万円~約320万円で、軽CEVの国の補助金は58万円)どころか、N-ONEを買うよりお買い得になるケースもありそう。クルマ好きを笑顔にする1台をBEVで作り上げたホンダのスマッシュヒットは、どこまで販売を伸ばすだろうか。



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